4歳児の癇癪(かんしゃく)原因と対策
癇癪とは
癇癪とは何かのきっかけにより「声を荒げて泣き叫んだり、暴れたりなど興奮を伴う行動」を起こすことです。
1歳前後から始まり、5歳を過ぎる頃には落ち着く傾向があります。
成長の過程で誰もが必ず通る道なのですが、どのように対応したらよいのかわからず悩んでいる方は多いようです。
癇癪のお悩み
先日、4歳の男の子を育てているお母様から、子どもの癇癪で悩んでいるとのご相談がありました。
出来ない事があったり、思うようにいかない時に癇癪を起し、ひどい時は30分以上泣くそうです。
何を言っても無駄で、どのように対応したらよいかわからないとお困りのご様子でした。
まず私が確認したことは、
- 幼稚園生活の中でも癇癪はおこすのか?
- 担任から「良い子」や「おりこうさん」と言われていないか?
この2点でした。
お母さんのお話では、園生活においては癇癪などの問題行動は全くなく、
良い子とよく言われるそうです。
この質問でわかることは、まずお子さんの発達には全く問題が無いことです。
癇癪の原因
癇癪が突然起こったと思いがちですが、背景には必ず原因があります。
よくある背景としては、「欲求不満」「空腹」「疲労」「眠気」などがあり、
これらを伝えたいのにその方法がわからないと「癇癪」という形で現れます。
しかし、子どもの成長と共に欲求も複雑化し、「注目されたい」「要求」「拒否」などの気持ちも加わっていきます。
良い子とは
親は、我が子に良い子になって欲しいと願っていますが、
良い子とはどういう子なのでしょうか?
親や先生の言うことをよく聞き、行儀のよい子どもは「良い子」と褒められます。
この場合、「聞き分けの良い子」「言うとおりに行動する子」ということになります。
つまり、良い子とは大人にとって都合の良い子なのです。
本当にそれが正しいのでしょうか?
6歳ぐらいまではまだ脳が未熟なため、気持ちのコントロールがまだ上手くできず
ダメと理解しながらも室内を走ったり騒いだり、友達と喧嘩したり、また約束を守れなかったりします。
しかしこれこそが子どもの本来の姿であり、脳の成長から考えても当然の行動と言えるのです。
大人の顔色を気にするのではなく、子どもらしく「やりたいことをやる」というのが、
本当の子どもの姿ではないでしょうか。
良い子の特徴
私の経験上、良い子と言われる子どもは、自分の気持ちを我慢したり、
自分の気持ちを外に向けて表現するのが苦手なお子さんが多いと感じます。
外で良い子は、その反動で家庭内でやりたい放題だったり、親の言うことを聞かなかったりすることがあります。
またその反動が後になってから出る場合もあります。
このお子さんは、担任の先生から「お利口さん」「良い子」とよく言われていることから、
もしかしたら言葉で気持ちを伝えるのが苦手で、
園生活で我慢している反動で癇癪を起しているのでは?と推察しました。
癇癪への対応
そこでこの相談者様には、以下のアドバイスをさせていただきました。
- かんしゃくが始まったら、叱ったりせずにしばらく(何分か)静かに観察する。怖い顔はNG!
- きっかけは何だったのか、なにが起きたのかを推察する。
- 決して大きな声ではなく、「○○したかったのかなぁ」「○○が嫌だったのかなぁ」などとさりげなく声をかけてみる。
- それでもまだ泣く場合はその場所を移動して、子どものそばで見守りながら落ち着くのを待つ。(その場を離れると、子どもは見捨てられたと感じる)
- 気持ちを伝えることができたら、「上手に言えたね」「教えてくれてありがとう」など褒める
子どもの方が困っている
子どもはまだ語彙が少なく、上手に気持ちが伝えられません。
伝えたくても上手く伝えられないので、「癇癪」ということでしか表現できなかったのではないでしょうか。
ときに「わがまま」「甘え」と思われがちですが、実は子ども自身が困っていることが多いのです。
その他に発達に問題がある場合もありますが、これはまたいつかお話ししたいと思います。
子どもの成長
後日談ですが、私に相談された日にたまたまお子さんが癇癪を起したそうで、
アドバイス通りにしばらく見守っていたそうです。
そして何が原因なのかを推測し、声をかけていくと、
「いつもあんなに泣いていたのに、少しずつ話し始めたと思ったら、なんと3分ほどで泣き止んだ」と連絡をいただきました。
「親の対応を変えただけで子どもが変わった!」と、大変驚いたそうです。
相談者様は、子どもが成長した瞬間を目の当たりにしたのです。
なぜ子どもに変化があったのか
この相談者様は私を信頼してくださり、アドバイス通りに行動されました。
また相談されたタイミングも良く、もっと年齢が高くなると、改善されるまでに時間がかかった可能性もあったのです。
なにより私の話に耳を傾け、相談者様ご自身が素直に行動されたことが改善へと繋がりました。
お母さんが変わったからこそ子どもに変化が見られたのです。
もちろん、毎回この対応で解決するとは限りませんが、
「見守る」「気持ちを推測する」「気持ちを代弁する」などの対応を繰り返していくことで
「お母さんは自分の気持ちを聞いてくれる、わかってくれる」「どんな自分でも受け入れてくれる」と感じ、
安心感や信頼感を築くことができます。
このように、自分の気持ちを言葉で表現できるようになれば、癇癪は自然に減少していきます。
まとめ
癇癪を起されるされると親としてはイライラするし、つい叱ってしまいますが、
困っているのは親ではなく、実は子どもなのです。
決してお子さんを否定しない事が重要で、そして子どもの気持ちをさりげなく聞いてみるのがよいでしょう。
あくまでもさりげなくです。
時には、そっと見守ることも必要です。
「子どもが困っている」と考えれば、少しは親の気持ちも変わるのではないでしょうか。
子どもを変えたいのでであれば、まず大人が変わるべきなのです。